革底のコバ仕上げにおける各種スタイルの解説

 

革靴の仕上がりを大きく左右する「コバ仕上げ」は、靴の側面の美しさや雰囲気を決定づける重要な工程です。コバの形状や仕上げ方はいくつかの種類があり、それぞれに職人の意図やデザイン性が込められています。以下に代表的な仕上げ方をご紹介します。

 

 


平コバ

最も基本的でスタンダードな仕上げ。

コバの断面が真っ直ぐに垂直、またはやや内側に傾斜しており、フラットでシャープな印象になります。ビジネスシューズやドレスシューズによく見られ、堅実で端正な雰囲気を与えます。着用時の安定感もあり、実用性にも優れています。


丸コバ

コバの角を丸く落とし、全体に柔らかい曲面を持たせた仕上げ。

丸みがあることで優しげで温かみのある印象を与え、カジュアル寄りの靴やクラシカルな雰囲気を出したい場合に選ばれることが多いです。また、磨きをかけると艶が出やすく、美しい仕上がりになります。

 


爪コバ (両爪)

コバの角を鋭角に削り込んだ、まるで爪のような形状の仕上げ。

見た目にエッジが効いており、立体感とシャープさが際立ちます。職人の技術が問われる仕上げの一つです。


矢はず(筈)

矢はずとは、矢の一端の弦にかける部分のことであるが、その形と同じように本底のエッジ(コバ)を三角形の尖った形に落として仕上げることを、矢はず仕上げと呼びますこの仕上げによって、厚みのあるソールを華奢(きゃしゃ)でエレガントに見せることができます。手作りの靴に多くみられ、元々日本が発祥の技術といわれています。


二段丸

コバを二段に削り出し、上段と下段に丸みをもたせた複雑な仕上げ。

装飾性が高く、クラッシックなドレスシューズや高級靴に見られます。非常に手間がかかるため、熟練の職人よる手仕事が必要です。奥行きのある見た目と独特の高級感が魅力です。